廃止される定率減税
定率減税は、小渕内閣が景気回復を目的として行った恒久的減税の一つで、高額所得者への減税措置である最高税率の引き下げ(65%→50%)、また法人税の引き下げ(34・5%→30%)とともに3点セットで実施されました。政府は景気回復を理由に廃止を打ち出しましたが、景気が回復したというなら、企業への優遇税制や高所得者への優遇税制の見直しこそ優先されるべきです。
厳しさを増す高齢者・低所得者層の生活
ここ2年という極めて短い間に、所得のある妻の均等割非課税措置の廃止、老年者控除の廃止、公的年金控除の見直し、老年者非課税措置の廃止、定率減税の縮減・廃止、非課税限度額の見直しと、幾重にも制度改正が行われ、大きな負担増になっています。特に高齢者世帯では、年金受給者への控除の見直しで、課税が強化されています。所得は変わらず、控除の廃止により非課税世帯から課税世帯になった世帯では、定率減税の廃止も影響し、激変緩和措置を行っても、負担の増加には著しいものがあります。きめ細やかな料金段階の設定など、低所得者への抜本的な制度改正が必要です。
病気や介護が必要になったらどうなるの?
その他、医療費では、今年10月から70歳以上の方の窓口負担が2割、3割へと変更になる人も発生し、高額療養費の限度額もアップすることから、ここでも負担が増し、介護保険でのホテルコストの導入でも負担が増加します。誰でも高齢になれば医療や介護が必要になることが多く、制度設計にはこうした状況も視野に入れるべきですが、今回の改正にはその視点がありません。
ひとり一人の生活の安全保障を
負担が増加していく中、生活の安心を確保する予算配分を行うことが重要です。格差社会の拡大が特に若者や高齢者で進んでいる現在、最も大切なのは誰もが安心して暮らせる社会保障や雇用政策の充実であるはずです。
千葉大学教授の広井良典さんが、著書「定常型社会」で述べているように、「経済成長を目標とするのではなく、個人の豊かさや平等、ないし分配の公平が実現され、それが資源、環境制約と調和しながら長期にわたって存続できる社会」をつくることが必要です。生活者ネットワークは、市民が納得できる税金の使われ方がされるよう、市民の目線でチェックし、無駄な公共事業をやめて、だれもが安心して暮らせる環境・福祉優先の社会の実現に向け、市や都、国に働きかけていきます。
税金をテーマに、市の職員による出前講座第1弾を行います。
ふるってご参加下さい。
7月20日(木)10:00から12:00
クリエイトホール第6学習室
参加費無料