2005年新春の集い

講演「東京改革は市民プランで一行政改革と財政の視点」を聞いて


 講師は関西大学教授・村尾信尚さん。大蔵省から出向した三重県で総務部長として行政改革に奪闘された経験を持ち、具体的に数字を挙げながら社会状況の変化についてお話下さいました。
 
たとえば、人口は過去100年で4000万人から1億2000万人となりましたが、今後100年で1億2000万人から6000万人に減少し、2050年には1億人のうち65才以上の人口が実に35%を占めるようになります。

人口が減少する中で福祉や医療、社会保障費などが増大していくことが予想されますが、その一方で国の財政は2005年度予算案で歳入82.2兆円に対し、年度末の国地方の債務残高は774兆円になるという事です。そう遠くない未来に、私達の子や孫が国の借金をしっかり背負わされるのは、火を見るより明らかです。

村尾さんは、こうした人口減少の社会の中で今の「国、都道府県、市町村」の三層構造から、いずれは「国と大きな市」の二重構造へ変えて行くのが望ましいというお考えでした。

また、役所の組織をスリム化し、納税者に対して「情報公開」と「説明責任」を徹底させることが必須であるというお話は、まさに生活者ネットワークの政策と一致するものでした。

日本の経済成長率が1960〜70年10.5%、1970〜90年4.1〜4.5%、1990〜2000年1.4%と高度成長から低成長へと変化していく中、それに伴った国民の意識については73年には物の豊かさが大切という人が40.3%で心の豊かさが大切という人が35.3%でしたが、03年には物の豊かさが大切という人が28.7%で心の豊かさが大切という人が60.0%へと逆転しています。ちなみに、04年には社会のために役立ちたいと思っている人が59.1%で、NPO法人数は19,523件(11月末)にのぼります。

「官から民へ」の時代は終焉に向い、「民」が公共サービスを提案し、選択して行く時代になるのです。そして意識を持った生活者の声(点)を拾い(線)、集め(面)で市民力を育てる。そして、気軽に集う場「カフェ・テンセンメン(点・線・面)」を各地に作り出そう、との提案には会場も盛り上がりました。こうして村尾さんのお話しを伺っていると、生活者ネットワークの活動は、まさしく時代をキャッチし、ニーズに答えたものだと実感し、力も湧いてくるのでした。