「水道事業を民営化?」日本の誇る「蛇口をひねれば出てくる安全な水」を子どもたちに残せるの? 【報告レポート】
2020年2月15日(土)、水ジャーナリストの橋本淳司さんをお招きして、表題の講演会を行いました。昨年水道法改正案が国会で可決されましたが、この水道法の問題点について学び、多くの方々に知っていただきたいということが今回の講演会の目的でした。
水は、水の周りに人が集まるコミュニティとしての役割や震災の後など情報交換の場になったりする側面があるという話や若い時分にバングラディシュでヒ素入りの井戸水を飲まざるを得なかった人々と出会ったことが現在の仕事に関わる大きなきっかけになったことなどが前段のお話としてありました。橋本さんの体験談とわかりやすい話しかたに会場が引き込まれました。
現状の問題点として、水道施設の老朽化、人口減少による赤字経営、水道事業における人材不足などがあげられ、その対策としての柱に「官民連携の推進」があげられています。水道事業の運営を民間企業に委ねる「コンセッション方式」に問題があるということでした。自治体がこれまで蓄積してきたノウハウが失われることや、競争原理が働かず公共サービスが低下する。民間がリスクを負担できない場合の自治体の負担など様々なデメリットが想定されます。
また、台風や大雨などこれまで経験のなかった災害に見舞われている今、災害発生時に民間事業者が対応できるかなど課題は山積しています。そもそもコンセッションは企業に有利といわれ、命に直接かかわる水を企業に委ねていいものかと疑問が残ります。
最後に、八王子は緑が多いが森林を守り育てることが地下水の涵養につながる、森は水を育んでくれると、森林と水とのかかわりを話してくださいました。
今年は暖冬で雪が少なく、夏の渇水が心配だとのこと。水は命そのもの。今回の橋本淳司さんのレクチャーを、今後の活動に生かさなければと思います。