貧困は人ごとではない!

政策ゼミで取り組んだテーマで議会質問しました

上の写真は若尾きみえが湯浅誠さん著「貧困襲来」の中の<5重の排除>について現したイラストを持って質問しているところ。下の写真は八王子の年齢ごとの所得を男女別にしたもので、女性の所得の低さを説明しています。(上が女性下が男性。赤〜オレンジの部分が年収200万円のライン)

八王子市の生活保護の受給者の推移を見ると平成19年度では5480世帯の受給があり、5年前の3665件から見ても保護世帯は急増してきています。また本市の納税義務者の推移は平成17年から18年のデータでは、納税義務者は増加しているものの、増えている層は、高い層ではなく、むしろ所得割の課税所得額200万円以下の層が増加し、平成14年度は納税者の53.5%が課税所得200万円以下だったものが、平成18年では57%に増加しています。

また国民健康保険で所得が少なく、負担軽減措置を受けている世帯は平成14年から18年で25,325人から34,500人へと6%増で国保の32.1%の世帯に達しています。

また、就学援助の推移を見ると、就学援助の認定基準が平成14年には1.3から1.2へ、そして平成16年には、1.1へと切り下げられていますが、基準の切り下げにもかかわらず、昨年の認定率は小学校で14.21%であり、中学校では3%増の16.82%の認定率です。認定基準が1.3だった平成6年から見れば、中学校の認定率は8.4%増にもなっています。こうした本市の様々な施策を通して見ても、低い所得層が増え、生活困窮者がふえていると考えられます。

貧困とは単に所得の要素だけでなく、教育を受けられたか、正規の職についていて企業福祉が受けられるのか、家族からの応援が得られるのか。また生活保護など公的福祉が得られるのか、そして自分自身に肯定感をもって頑張ればやれると思えるのかの5つの要素がポイントになり、貧困の深刻化はこれらからの5重の排除、つまり教育、企業福祉、家族福祉、公的福祉からの排除、そして自らの排除が進むことによって深刻さを増します。

また、貧困の問題は、ただ本人が暮らせないだけでなく、様々な社会の問題とも結びついており、貧困から病気になる、多重債務になる、中には自殺につながる人もいる。また児童虐待の急増と言われていますが、東京都の児童虐待の実態調査でも、家庭の経済的困難と家庭内のストレスや児童虐待の相関関係も指摘されており、次世代への影響も極めて大きいと言えます。こうした点からも、貧困の問題は放置できない問題としてとらえ、労働問題を解決しつつ、さらに貧困を深刻化させる排除が起こらないようにする施策の展開が必要です。

貧困の問題は、憲法25条の生存権の保障に関わることであり、解決するためには、労働問題の解決とともに、教育、企業福祉、家族福祉、公的福祉、そして自らからの排除がされないよう、行政としても施策の展開をしていくことが求められていると訴えました。