「人と動物と、いのちとウンチ」小宮輝之さんのお話

 自然に近い生活がいい、動物園での試行錯誤のお話を聞きました。
  毎月、地域で活動をしている方に問題提起をしていただいて、参加者で話し合う「ウイークエンドフォーラム」。10月は、元上野動物園園長の小宮輝之さんをお招きしました。今回の会場は堀之内にある鈴木牧場(通称:おっさん牧場)の牛舎の2階。そこを改装し、新規就農第一号の舩木さん(以前のウィークエンドフォーラムのゲスト)が経営する(株)FIOの事務所としているスペースを活用させていただきました。もちろん、牛舎なので牛たちがいて、その周りには山羊なども飼われています。そんな動物を身近に感じられる環境の中で学んだ「いのち」のお話でした。

 動物園ではどんな餌を与えるか試行錯誤、例えばゴリラの場合、本来は木の葉や樹皮、草などを食しますが、バナナとか甘いものが大好きです。喜んで食べるのでつい好物を与え続けてしまうと体が大きくなり、大きくなりすぎたゴリラは生殖できなくなるとのこと。どの動物も本来何を食べていたかを正しく把握し、本来の食生活に合わせた餌を与えないと健康状態は保てないということでした。また、コアラやパンダは生まれたばかりの子どもには母親の糞を食べさせます。それは生きていくために腸内細菌が必要だからということでした。人間は赤ちゃんが使うものは煮沸したり消毒薬につけてみたり赤ちゃんを神経質に雑菌から守ろうとしますが、人間も腸内細菌がないと生きられないのは動物と同じこと、やたら殺菌剤を用いるのは間違っていると改めて思いました。

 小宮さんは日本で初めて、クマを冬眠させたことでも知られます。これも動物園にいてもできるだけ自然に近い環境でと考えたからです。冬眠中に子どもを産み、子熊は寝ている母熊から自発的に乳を飲み春を迎えます。冬眠したクマにメタボはいないそうです。

  今回、小宮さんの話を聞いて子育てをやり直したいと発言した方がいらっしゃいました。それほど小宮さんのお話は、食生活のあり方や子育てなど示唆に富んだ内容でした。野鳥など小宮さんの専門分野は広いのでまだまだ聞きたいことだらけです。また第2弾を企画できたらと考えています。