八王子・生活者ネットワーク由木地区では、阪神淡路大震災や中越沖地震の教訓をふまえながら、万が一、災害が降りかかったことを想定して不安を出し合い、まち歩きをして「防災」について考えました。
第1回のワークショップでは、不安なこととして、家が倒壊して下敷きになってしまったらどうしよう・怪我をして動けなくなったら・外出時に被災したら家族と合流できるか・水が止まるとトイレが使えない・高齢者や病人の救助は・漏電による火災の心配等があげられました。
さらに、避難所で生活しなければならなくなった時も心配なことが沢山あります。プライバシーがなくなる・幼児が泣いたりして肩身が狭いのでは・トイレや風呂を覗かれたという話を聞いたなど、特に女性や子どもにとってストレスが大きいことが予想されます。阪神淡路大震災の避難所やその周辺では性犯罪が多発したことも報告されています。
第2回は首都大学から上柚木地域を安全な場所、役に立つもの、危険な場所などを探しながら歩きましたが、避難所となるはずの学校は入り口の門が固く閉ざされており、イザという時、ちゃんと地域の人が使えるのだろうかと心配になりました。
そこで第3回目では、夜間に災害が起こったとき誰が避難所の鍵を開けるのか、また、避難所を誰が仕切るか、プールの水はろ過して使えるのか、備蓄品の管理や点検、入れ替えはどのように行われているか、などわからないことを聞いてみようと、八王子市の出前講座をお願いしました。
市では食料とトイレの確保に力を入れているとのこと。食料は市の人口約45万人のうち、5万人が避難すると想定して3食3日間分の45万食を備蓄。トイレは仮設トイレを3基づつ、道の駅などではマンホール直結型トイレを備えている。しかし、地域によっては3階の空き教室に備蓄されているので、下ろして使えるようにするのは大変な労力がいるようです。また、多摩26市では協定を結んで緊急時、住民は公共施設の相互利用ができる、医療についても医師会や薬剤師会との協定で臨時の救護所を設置する、介護の必要な高齢者についてはすべての社会福祉施設との協定で、空きベットが利用できるようにするなど、横断的に計画が立てられていることがわかりました。
しかし、実際に被災した場合、どこまで計画通りにすすむのかは未知数です。避難所の鍵を開け、現場の安全を確認して指揮をとるのは市の職員ですが、抜き打ちで行った参集訓練では担当の避難所に駆けつけるのに最長2時間かかったとのことです。平常時で2時間かかったということに不安を感じます。また、女性や子どもに対する性犯罪についても重要な課題として認識し、対策をとるように今後市に対応を働きかけていきたいと思います。