見直しまで待てない!自立支援法は自立阻害法?!

「障害者自立支援法」が2005年10月に成立し、翌2006年4月から施行されています。この法律に対しては多くの市民団体から問題点が指摘されていました。そこで、現場の声を聞き支援法の問題点を探ることを目的に、八王子の明神町にあるヒューマンケア協会の視察に参議院議員の大河原まさこさんと参加しました。

ヒューマンケア協会は、1986年に設立された日本初の自立生活センターです。地域で自立生活していく上で、必要な介助者派遣サービスや各種相談、自立生活プログラムの実施、ピアカウンセリング・プログラムの実施、講演会の開催、委託研究の実施及び報告書の発行などの多様な企画を通して地域での自立生活を支援しています。

代表の中西正司さんにヒューマンケアの理念や自立支援法の導入に伴う現状を伺い、実際に地域で自立した生活を送っている若者の自宅を訪問、実際の暮らしぶりを拝見させていただきました。
聴覚、視覚、精神の障害当事者でもあるスタッフからも、それぞれの立場から困っていること、必要だと思う施策などについてお話を聞かせていただきました。(ヒューマンケアではなんと運営委員の51%が当事者です!)

障害者自立支援法の柱は「応能負担から応益負担へ」「障害の種類別に法律があったのを、あらゆる障害について、この法律で対応する」「市区町村を事業の母体とする」そして「障害者も自立できる社会をめざす」の四つです。

しかし、自分が受けたサービスの値段に応じ、その1割を払う「応益負担」が導入された結果、経費を抑えるためにサービスを受けない人が出てきていることや、重度訪問介護の報酬単価が低く抑えられていることなどの問題が指摘されています。報酬単価が引き下げられたことでヘルパーへの支払い単価が下がり、深刻な人手不足を招いていると同時に、事業所が重度訪問介護から撤退、サービス提供事業所が減少しているなど、重度障がい者の地域生活存続が危機に陥っています。支援法は5年後に見直すことが定められていますが、それを待たずして見直しが必要です。

何をもって自立とするのか。自立支援法の問題のみならず、障がい者福祉の根幹から変えていくことが必要です。自分のことは自分で決めることができる自己決定の保障こそが、人権を保障し、自立を保障することです。

生活者ネットワークは、明日のサービスは自分で決める!ことができる豊かな福祉を市民力でつくり、誰もが安心して暮らせるまちをつくることを大勢の市民とともにすすめていきます。