「ALPS処理水の海洋放出の中止を求める意見書」を提出しました!

 

(出典)資源エネルギー庁WEBサイト

八王子・生活者ネットワークは、2023年第3回市議会定例会において、「ALPS処理水の海洋放出の中止を求める意見書」を提出しました。
残念ながら否決されましたが、多くの疑念がある「ALPS処理水の海洋放出」に沈黙することはできません。私たちは関心をもって見ていく必要があります。

玉正さやかの提案説明は、以下の通りです。↓

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それでは、議員提出議案第4号、ALPS処理水の海洋放出の中止を求める意見書について、私から提案説明させていただきます。

今年の8月22日、政府は東京電力福島第一原発で生じているALPS処理水の処分をめぐり、「海洋放出」時期を関係閣僚会議で決定し、東京電力は24日に放出を開始しました。

東京電力及び日本政府は2015年にALPS処理水放出に関し、「漁業関係者を含む関係者への理解なしにはいかなる処分も行わない」と文書で約束しました。多くの漁業関係者は繰り返し反対の意思表示を示していたにも関わらず、方針を決定したことは民主的なプロセスとは言えません。

処理水に含まれるトリチウムについては、通常運転中の国内外の原発から排出されておりますが、環境中のトリチウム量が少しずつ多くなっている状況で、その累積的影響についてはまだわかっておらず、このまま放置していてはならない世界規模の問題です。

そもそも、今回の処理水は、通常運転中の原発からの排水と大きく異なり、核燃料が解け落ちているデブリに触れた水の放出であり、様々な放射性物質を含んでいます。当初、東京電力は、ALPSを通すことにより、トリチウム以外の放射性物質は除去できており、基準を満たしていると説明していました。しかし、メディアの報道をきっかけにトリチウム以外の放射性物質も基準を超え、残留していることが明らかとなりました。しっかりと「放射線影響評価」を行い、水に含まれる64の放射性物質(alps除去対象の62各種、トリチウム、炭素14)について測定データがそろっているのは、3つのタンク群のみです。全タンクの水の7割弱は、トリチウム以外の62の放射性核種の濃度が全体として排出基準を上回っており、最大で基準の2万倍近いものもあります。主要7核種およびトリチウム、炭素14については、すべてのタンク群での測定データが公開されていますが、タンクごとのばらつきが大きいことがわかります。東京電力は、海洋放出する前に二次処理を行い、基準値以下にするといっていますが、問題なのは、現在タンクに残留する放射性物質の総量が示されておらず、その放射性核種の何がどのくらい、海に放出されるのか、基本的な情報が明らかにされないまま放出を始めてしまったことです。汚染水をためておくスペースがないこと、デブリを取り出した際に一時保管場所として広大なスペースが必要なことを理由に処理水の放出を正当化していますが、デブリの取り出しは暗礁にのりあげ、見通しはたっていません。なぜ今、急いで処理水を放出する必要があったのでしょうか。原子力市民委員会では、大型タンク貯留案や、モルタル固化処分案などの代替案を提案してきましたが、こうした代替案について、公の場で提案者をまじえた形できちんと議論がなされておりません。海洋放出ありきで進められた検討は認められません。

また今後、六ケ所村の商業用大規模再処理工場の操業開始が予定されていますが、設計上の処理能力では、再処理の過程でトリチウム等の放射性物質が海と大気に大量に(トリチウムは年間9700兆ベクレルが海洋に、1000兆ベクレルが大気中に)放出されます。これは一年間に、現在福島第一原子力発電所の全タンクに含まれるトリチウム総量が大気に、その10倍ものトリチウムが海に放出されるという、けた違いの数字です。このような計画があることも含めて、放射性物質の海洋・大気への投棄、核拡散、核テロリスクなど、本質的な議論をすべきです。

今回の処理方法は海水をくみ上げて汚染水を希釈する手法を取り入れていますが、それでは汚染物質そのものが無毒化されていないため、これらの放射性物質の環境蓄積や生態濃縮が起こりうる可能性があり、これらの取り込みによる内部被ばくも懸念されます。まずは、処理水に含まれる放射性物質の状況を把握し、環境や生き物への影響について、正しく理解をして判断できる知識を持つことが重要であり、そのための適切な情報公開が必要です。

海洋資源に大きく生活を依存している太平洋諸島からは人々の命と暮しを脅かす問題であるにも関わらず、事前の相談もないことに遺憾の意が示されました。ドイツの環境大臣からは、海洋放出は他の全ての道が遮断された場合の最後の選択肢としてのみ効果を発揮するものであり、今回の放出は歓迎できないとの声明が出されております。全米海洋研究所協会や世界の自然保護・環境保護団体からも反対の声が挙がっております。海はつながっており、地球に暮らす生物、人々みんなのものです。後始末に困ったものを薄めて流し捨てることは国際的な環境倫理に反します。

これまで10年間被災地復興のために努力してきた漁業関係者、そこに住む地域の方々がいます。福島県の漁業関係者は原発事故から10年、自由に漁ができないことや、放射能汚染の不安からの買い控えという現状に耐えてきました。漁業を営む方は、「山があって、川が海に流れて、プランクトンが育ち、それを小魚が食べて、それをさらに大きな魚が食べて回っている。海を汚すのは簡単だけど、もう戻らない。海だって生き物であり、われわれだって国民なんだ。頼むから、誰か、この声を聞いてほしい」と切実に訴えています。この放出は、今まで復興のために頑張ってきた方々へ失望を与えるだけでなく、生物多様性や自然環境へも大きく影響するものです。

本意見書は、こうした点から、政府に対し、ALPS処理水の海洋放出を即時に停止することを求めるものです。

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意見書の内容は、下記の画像をクリックしてご覧ください。

ALPS処理水の海洋放出の中止を求める意見書のサムネイル

(出典)ALPS処理水の海洋放出に関する情報 福島県HP